業務委託契約書の印紙税がややこしい!請負契約か委任契約の見分け方!

経済

こんにちは!なすのつくだにです。

今回はいつもと違って、経理の話をしたいと思います!

印紙税がややこしい

私は就職してから経理の仕事をしているのですが、仕事をしばらくして思った不満があります。
それは、印紙税ややこしくない???ってことです!
他部署の方から「この契約書、印紙税いりますか?」「この契約書はいくらの収入印紙を貼ればいいですか?」という依頼を受けることが多いのですが、
境界線が微妙なやつがとても多くて苦労しています。
今回はその中でも、ややこしさが非常に高い「業務委託契約書」についての不満(と自分的な見分け方)を書きたいと思います!

※注意※
ここで書く見分け方は個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。分からないものがある場合は税理士の方に相談してくださいね!

そもそも収入印紙って何?

収入印紙って、普通に生活していてあんまり見かけることはないかもしれません。
日常生活だと、高い領収書をもらったりした時や、パスポートや免許を作るときに買ってはっつけることがありますね。
ちっちゃい切手みたいなやつです。

印紙税は課税文書にかかる税金

印紙税のかかる文書(課税文書)は法律(印紙税法)で決まっています!
以下に課税文書の例を挙げたいと思います。

・第1号文書→不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
・第2号文書→請負に関する契約書
・第7号文書→継続的取引の基本となる契約書
・第17号文書→売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書

などなど…

契約書のタイトルではなく、契約書の記載事項に課税文書に該当する事項があったら課税文書となります。
そのため、個々の契約書の中身で判断する必要があるってことですね。
詳しくは国税庁HPに記載があるので、よろしければこちらもご覧ください。

参考:国税庁HP

No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
印紙税の手引|国税庁

「業務委託契約書」って印紙税がかかるの?

それでは、今回の問題となっている「業務委託契約書」には印紙税が必要なのでしょうか。
答えは、どちらにも該当する可能性があるので中身をよく確認しないといけない。です!

「業務委託契約」と聞くと、誰か他の人に業務を請け負わせているため第2号文書(請負に関する契約書)に該当しそうな気がしますよね。
しかし、一口に「業務委託契約」と言っても、全部が第2号文書になるわけではないんです。
業務委託契約を細かく分けると、以下の2つになると思います。

・請負契約
・委任契約

その上で、請負契約だと第2号文書に該当し、委任契約だと第2号文書に該当しないことになります。
(※委任契約でも、契約期間が6ヶ月以上になると第7号文書に、お金を領収した旨の記載がある場合は第17号文書に該当する可能性があるため注意!)

そのため、契約書の中身を見た上でどちらに該当するかを判断する必要があるということですね!

請負契約とは?

それでは、2つの契約形態の違いを解説していきたいと思います。
まず請負契約から説明していきます!

請負契約とは、仕事を完了し、成果物を約束した契約のことです。
成果物に関しては、有形・無形を問いません。民法上の記述は以下のようになっております。

民法632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。


・建設工事契約 (典型的な請負契約)
・清掃契約
・製品のデザイン契約書 (その企業でしか使えないモノを設計・製造することを約束)
・広告契約書 (国税庁に表記あり)
・調査業務 (リサーチ結果を成果物として、納期までに提出する)
・ソフトウェア保守契約

請負契約の典型的なものとして、建設工事契約が挙げられると思います。
建設物の完成を約束した契約を結んで、竣工をもって報酬を得る、という成果物の完成を約束した契約であることが分かると思います。
ここで難しいのは、有形だけの成果物だけではなくて、無形の成果物も含んでいるというところですね。
例えば、清掃契約書は「部屋がキレイになる」という状態を成果物と考えて、
キレイな状態になることを約している契約のため請負契約となります。

 

また、請負契約は瑕疵修補請求権というものがあります。

民法第634条
1. 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

これは、作った成果物に瑕疵(ミス)があったらその修正を請求できる権利のことです。
これは請負契約が業務の完成を約しているため、成果物に欠陥が見つかった場合にその修正を求めることができます。

委任契約とは?

一方の委任契約は一体どのような契約なのでしょうか。
他人のために働く点で請負契約と共通しています。
しかし、委任契約は仕事の完成を約していない点で異なる!というのがポイントです!

民法643条
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

民法656条
この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。


・弁護士の顧問契約 (例えば、裁判に勝つ等の責任は負っていない)
・コンサルティング契約 (コンサルティングによる業績変動に責任を負わない)
・販売委託 (販売を委託する業務のみの場合)

※典型的なやつだけ書いてます。実際は内容によって異なる場合があります。

委任契約の典型的な契約として、弁護士や税理士の顧問契約が挙げられます。
これらの契約はアドバイスはするけれども、生じた結果(裁判に勝訴する、税務調査の指摘をされない等)については責任を負わないよ!という契約ですよね。
このように、委任契約は請負契約と違い工事の完成などの成果に対する報酬を受け取るわけではなく、
事務の委託による契約のため、報酬は委託した結果が委託者が予期せぬものとなってももらえます。

 

また、請負契約にあった瑕疵修補請求権はなく、善管注意義務(要するに、頑張って仕事してね!っていうの義務)が課せられます。

民法第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

以上より、委任契約は頑張って仕事をする義務はありますが、委任した仕事に対する成果については責任を持っていません。
責任に関しては、請負契約より軽いものとなっているのが特徴です。

「業務委託契約」の見分け方

さて、問題の「業務委託契約」についてです。
上に書いた例でもわかるように、どの契約も「業務委託契約書」という契約書で書けそうなんですよね。
そのため、厄介なのですが個々の契約書の中身を見て判断する必要があります!
(ちゃんとしてる企業だと題名に請負契約書等、どの契約に当たるかを記載してくれます。ありがたいですね)

見分けるポイント
・成果物があるか?
・報酬はどうなったらもらえる?
・瑕疵(ミス)に対する補償があるか?

あたりをがチェックポイントにしてみたら良いと思います!
以下、契約の性質の違いを基に、ポイントを簡単にまとめてみます!

成果物があるか?

これが見分ける上で一番大きいポイントになるかと思います。
例えば、

・何か形に残る物があるか?(建物、備品、調査結果)
・一定の状態になることを約束しているものか?(清掃における綺麗な状態、ソフトウェア保守契約におけるトラブルがない状態、テレビ広告契約の放送時間・回数など)

という要素があれば請負契約になると思います。
一方、そういった要素が見られないのであれば、委任契約に該当すると思われます。

報酬はどうなったらもらえる?

次に、何に対するものとして報酬を受け取るかについてです。
請負契約は仕事の完成を約している契約のため、仕事の完成を持って報酬を受け取ります。
(逆に言うと、仕事が完成しない限り報酬を受け取ることができない契約、と言うこともできるかもしれません)
一方、委任契約は作業そのものに対する報酬であるため、仕事の完成については問われません。

瑕疵(ミス)に対する補償

最後に、瑕疵(ミス)に対する補償についてです。
請負契約については瑕疵修補請求権が発生するため、ミスに対する補償があります。
一方、委任契約については善管注意義務が発生するため、ミスに対する補償があるわけではありません。

以上3点をチェックポイントにして、請負契約か委任契約かを判断すれば良いと思います!

まとめ

以上、今までの内容をまとめました!

・業務委託契約には「請負契約」に該当するものと「委任契約」に該当するものがあり、ややこしい!
・「請負契約」だと第2号文書に該当するが、「委任契約」だと第2号文書に該当しない!
・2つの契約は、「成果物の有無」「何に対する報酬か」「瑕疵に対する補償の有無」をチェックポイントにして判断すれば良い!

ただ、この2つには内容的にかなり微妙なものもあるので、分からないものがあれば税理士に相談してください。

以上、ありがとうございました!