消費税の軽減税率がややこしい! その1・軽減税率の対象編

経済

こんにちは!なすのつくだにです。

今回はじみーに続いている税金ややこしいシリーズ第3弾を書こうと思います!

ニュースでも話題の「軽減税率」ってややこしい!

と感じたことについて書きたいと思います。
今回は前半として、「軽減税率の対象になるもの」がややこしい!ということについて書いていきます。
後半は「請求書の書き方」がややこしい!ということについて書く予定です。

ちなみに、今回の記事は国税局の「消費税軽減税率制度の手引き」
元に再構成し、具体例や個人的な所感を加えたものになります。
より詳しい案内はそちらを参照してください。

消費税軽減税率制度の手引き(国税庁ホームページ)

※あくまで僕が調べてややこしい!と思ったことを書き連ねている記事なので、
感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。
また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。
分からないものがある場合は税理士の方に相談してくださいね!


消費税の軽減税率がややこしい! その2を書きました!
こちらもよろしければご覧ください!

消費税率の改正について

ニュースなどでも取り上げられているように、
2019年10月から消費税率の改正が予定されています。
大きく分けて目玉は3つあります。

・消費税率が10%に上昇する
・消費税率改正に伴う経過措置が導入される
・軽減税率が導入される

このうち、今回解説するのが一番下の「軽減税率の導入」です。
なお、2つ目の「消費税率改正に伴う経過措置」に関しては↓の記事を参考にしてください!

軽減税率の概要

軽減税率は簡単に言うと、
「生活に欠かせないものに対する消費税率を8%に軽減しますよー」というものです。
消費税率が上がってしまうと、消費者の負担が大きくなってしまうので、
生活に欠かせないものに対しては消費税を減らします!というものですね。
軽減税率対象になるのは大きく分けると

・飲食料品(酒類を除く)
・新聞の定期購読

の2つです。
ちなみに、軽減税率の8%と、旧税率の8%は消費税率と地方消費税率の内訳が違うので、
ちゃんと分けないと申告の時に大変なことになります。
これからそれぞれについてもう少し細かく説明していきます。

飲食料品

飲食料品は食品表示法に規定する食品のことを指しています。

食品表示法 第二条 

この法律において「食品」とは、全ての飲食物(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品及び同条第九項に規定する再生医療等製品を除き、食品衛生法第四条第二項に規定する添加物(第四条第一項第一号及び第十一条において単に「添加物」という。)を含む。)をいう。

漢字が多くて分かりづらいですね…笑
食品表示法第二条によると、この「食品」には医薬品や医薬部外品・再生医療等製品は含まれず、
食品衛生法に規定する添加物が含まれる、とのことです。
つまり、栄養ドリンクなどで「医薬品」や「医薬部外品」に分類されているものについては
軽減税率が適用されず、10%になってしまうため、注意が必要です!

こういうものは軽減税率対象外です↓

大正製薬 リポビタンD 100ml×10本 [指定医薬部外品]

また、食品表示法上の「食品」以外のものとして取引されるものは、
飲食が可能なものであっても軽減税率対象にはなりません(生きた家畜や水道水など)。
また、酒類は軽減税率対象に含まれません。
おそらく、生活に不可欠なものではなく嗜好品であるという判断だろうと思われます。

新聞

もう一つの大きな対象が新聞です。
こちらは一定の題号(◯◯新聞などの決まったタイトルのこと)を用い、
政治・経済・社会・文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもので、
定期購読契約に基づくものは軽減税率対象になります。
定期購読契約に基づくもののみが軽減税率の対象になるため、
コンビニで売っている新聞を買った時は標準税率の10%になります

軽減税率制度でややこしいと感じたポイント(というか、文句)

飲食料品における軽減税率の適用範囲の線引きが細かい&微妙すぎる

実務面でのややこしいポイントは、本当にこれに尽きると思います。
特にややこしいなーと感じたポイントを以下に書いていこうと思います。

軽減税率の基本的な考え方

具体的なポイントに入る前に、飲食料品の軽減税率制度における基本的な考え方を説明いたします。
飲食料品の軽減税率は「生活に欠かせないものなので税率を8%にしますよー」という趣旨だと考えられます。
そのため、「食品そのものの提供」ではなく「サービスの提供」だと判断されると、
消費税率が標準税率の10%となる、というのが基本的な考え方です。
以下のややこしいポイントもその考え方に沿っていると思われます。

一体資産とその判定がややこしい

一体資産とは、例えばコーヒーとカップが一緒に売られている商品など、

・飲食料品と飲食料品ではないものが一緒に売られていて
・その一つの商品の価額のみが提示されている

商品のことです。

例えばこういうものです↓

ドリップバック ドリップコーヒー ドリップパッグ コーヒー 珈琲セット バラエティセット コーヒーセットコーヒーケトルセット

 

一体資産のうち、

①税抜価額が1万円以下かつ
②食品の占める割合が3分の2以上の場合

は全体が軽減税率の対象となります。

この一体資産、一体資産かどうかと、軽減税率対象かの判定がややこしいんですよね。

一体資産かどうかの判定がややこしい

まず、セット状態の価額のみが表示されていなければ「一体資産」とは見なされません。
そのため、

・飲食料品とそうではない資産の内訳を提示している場合
・「よりどり◯点で◯◯円」みたいに、自由に組み合わせることができる場合

などは、一体資産っぽいけど、一体資産じゃないものとして「一体資産」とはみなされません。
上の例は2つとも「一括譲渡」と呼ばれる取引で、次の項で説明します。
結構スーパーなどで見かける売り方なので、注意が必要ですね。

一体資産の「占める割合」の判定がややこしい

「占める割合」の判定もややこしくて、
これは原価の割合や売価の割合など、合理的に算定した割合であれば問題ないとのことです。
(ただし、容積、重量など、価額と関係のない指標を利用することはアウトです!)
また、原価の変動が大きい場合などは、前年課税期間の原価を利用する等で算定することも認められています。
また、スーパーなどでは「セット状態のものを仕入れたので内訳が分からない!」という問題が出てくると思います。
その場合は「仕入れた時に8%で仕入れたため、軽減税率対象の一体資産と考えた」という判定も認められています。

毎日新商品を仕入れているような小売業で一体資産に該当するかどうかを判定するのは煩雑ですし、
いちいち軽減税率対象か対象でないかを判定するのも、
結構な作業負担の増加になると考えられますね…
各社が実務で回すことができるのか、不安になります…

一括譲渡

スーパーなどで飲食料品とそうでないものを一括して販売した場合には、
個々の商品ごとに、その商品が飲食料品であれば軽減税率が、
そうでなければ標準税率が適用されます。
これを「一括譲渡」と言います。

これ自体はレジで商品ごとに軽減税率とそうでないものが分けられる、
みたいなイメージで割と想像しやすいと思います。
先ほど少し話に上がりましたが、

①飲食料品とそうではない資産の内訳を提示している場合
②「よりどり◯点で◯◯円」みたいに、自由に組み合わせることができる場合

なども一括譲渡に該当します。
①や②で個々の商品の価額が明らかな場合は、個々の商品ごとに税率の判定を行います。
また、②の例の場合に個々の商品に係る対価の額が明らかでないときは、
対価の額を合理的に区分し、区分したものごとに税率の判定を行います。

実務的には、このよりどり◯点で飲食料品とそうでないものを混ぜていた場合の設定が
非常に複雑になりそうです。
それぞれの商品の組み合わせごとに価格の割合を決めて、
商品ごとに軽減税率か標準税率かを設定しなければならないので、
マスタ設定が非常に煩雑になりそうです。
(妥協して、総額から等分するような取り扱いでも問題ないのでしょうか?)

包装材料等

「包装材料等」というのは、例えばジュースのペットボトルやお肉のパック、
お弁当についている割り箸など、飲食料品ではないけれど飲食料品の包装に使われているものです。
これらは飲食料品ではありませんが、

・飲食料品を提供するのに欠かせないもの
・食べることにしか使わないもの
・その飲食料品にしか使わないもの

などに対しては飲食料品と一体と考え、軽減税率対象になります。
(包装部分を分けて標準税率とはしません)

一方、お中元やプレゼントなどでお金を払って包装を行う場合は、
この包装は「サービスの提供」に該当するため、消費税率は10%となります。

テイクアウトと外食

こちらは「軽減税率」を分かりやすく表現しているので、
ニュースでもよく取り上げられているトピックですね。
テイクアウトは「食品そのものを提供している」と考え、消費税率が8%になります。
一方、外食は「サービスの提供」に該当すると考え、消費税率が10%になります。

外食の条件と飲食設備について

外食と判断されるには2つの条件があります。

①飲食設備のある場所で(場所要件)
②飲食料品を飲食させる役務の提供(サービス要件)

これら両方を満たす場合に外食と判断されます。
このうち、①の「飲食設備」が非常にややこしいんです…
次の項で詳しく説明いたします。

飲食設備について

「飲食設備」とは、文字通り飲食に利用する設備のことを指しています。
この「飲食設備」は飲食するための設備であればその規模や目的は問わないため、

椅子のみやテーブルのみ
元々飲食目的以外に設置されたテーブル

などであっても、飲食に用いられるのならば「飲食設備」として判断されます。
簡単にいうと、テーブルか椅子があったら「飲食設備」になってしまうということです。

思ったより広い!!

そのため、「休憩用に設置した椅子なので、外食じゃないです!」というのは通用しないということですね。
例えば、僕の自宅近くのコンビニにはイートインスペースとは言えない
休憩用の小さい折りたたみ椅子とテーブルが1組置かれているのですが、
もしこれでコンビニで買ったものを食べると外食に該当してしまう
ということですね……きびしい……

※ただし、「飲食はご遠慮ください」などの告知があれば、
飲食に使っている実態がないとして飲食設備に該当しないと考えられるので、
実際に飲食用でないテーブルを設置している場合は告知するのも一つの手段かもしれません。

フードコートの場合

また、飲食料品を売る事業者と飲食設備を管理する事業者が違っていても、
両者が飲食料品をその飲食設備で食べることを合意している場合は、
飲食料品を売る業者にとっての飲食設備に該当するため、「外食」になってしまいます。

おそらくこれはフードコート的なものを想定していると考えられますね。

移動販売車の場合・屋台の場合

一方、合意に基づいて利用しておらず、誰でも利用できる公園などは飲食設備に該当しません。

そのため、公園の近くで移動販売車で飲食料品を販売していて、
お客は公園のベンチで買ったものを食べている場合は軽減税率対象になるということですね。

逆に、屋台や移動販売車などがテーブルや椅子を持ってきていて、
それを使って飲食するような場合は標準税率10%になってしまいます。

個々の事業者で、飲食設備に該当するか・該当しないかの検討をする必要がありますね。

テイクアウトと外食の両方ある店の場合

お店によって(ファストフード店など)はテイクアウトと外食の両方ができる場合もありますが、
その場合は飲食料品を提供する時点でどちらかをお客に聞くことになります。
この際、販売時の意思表示に基づいて判断するため、後から実態が変わっても
(お客が買った時にテイクアウトで申し出たため8%で計上したが、後で席に着き食べた等)
消費税率を変更する必要はありません。
聞き方はお店の業態や売っている商品による、適宜の方法で構わないようです。

例えば…

・ファストフード店は販売時に都度お客に意思確認をする
・イートインスペースがあるコンビニは「イートインスペースご利用時はお声がけください」などの張り紙を掲示する
 (利用者の比率が少ないと考えられ、販売時に都度聞く接客を行わないと思われるため)
などなど……

 

しかし、「おにぎりを3個を買い、そのうち1個だけをイートインで食べたい」のような場合は、
1つを10%・2つを軽減税率の8%で計上しなければならず、ひとつひとつ確認しなければいけません。

これって実務上、現実的なのだろうかって正直思います……
いちいちイートインしますか?と聞くのはかなり手間が掛かるでしょうし、
各社がどのような対応を取るか、ノウハウが蓄積されるまではかなり大変になると考えられます。

出前とケータリング

こちらは前項の「外食とテイクアウト」と似ていますが、若干わかりやすいと思います。
出前は「食品を単に届けるだけのため、食品そのものを提供している」と考え、
消費税率は8%
となります。
ケータリングは「相手先に出向いて料理を提供するため、サービスの提供」であると考え、
消費税率は10%となります。

全体的な所感(というか、文句)

まず、現場の担当者が前述の変化と、制度変更に伴う作業増加に耐えられるのか?というのは
単純に疑問に思いました。
単純に「飲食料品は8%!それ以外は10%!」というわけではないのが負担を増加させていると思います。

例えば…
・栄養ドリンクで「医薬品」「医薬部外品」に当たるものは10%で設定し、
そうでないものは8%に設定する
・一体資産である場合、新しい商品が一体資産か・軽減税率かそうでないかを判断し、
税率マスタを設定する

・一括譲渡(よりどり◯点◯◯円など)で飲食料品とそれ以外が混ざっている場合は、
分割計算を考える必要がある

・飲食設備に該当するような施設がないか、あるならばどのように対応するかを
考えないといけない

・外食とテイクアウトを両方している店舗は、品物ごとに都度聞かないといけない
などなど……

ざっと挙げただけでも割と思いつくので、
細かい作業まで落とし込むとなるとかなりの負担になると考えられます。
しかも、この判断を行うのが経理担当者ではなく現場の方々なのも負担を増やしていると思いますね。
いきなり「これは一体資産か???」みたいなことを案内しても現場の方々は戸惑うと思います。
綿密な説明会やオペレーションを検討していかないと、実務で回すのは厳しいと思いました。

まとめ

長々と書いてきましたが、まとめに移りたいと思います。

・軽減税率対象は飲食料品と新聞。飲食料品は医薬品等は除外になることに注意!
・飲食料品の軽減税率の線引きが微妙でややこしい。
 ポイントは「飲食料品そのもの」か「サービスの提供」か。
・軽減税率対応の事務負担は実務的に回せるのか?小売業の負担がかなり大きい

まとめて改めて思ったのですが、これ本当に10月に実行できるのでしょうか?笑
すごく不安です。

以上、ありがとうございました!


消費税の軽減税率がややこしい! その2を書きました!
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