京アニへの寄付金に対する税制上の優遇について考えてみた

経済

こんにちは!なすのつくだにです。

今日はネットで見つけた、この記事について書こうと思います!

2019年7月に発生した京都アニメーションの放火事件が発生しました。僕も京都アニメーションのアニメは沢山見ていたのと、個人的に宇治にゆかりがあるのでとても悲しくなりました。
この事件に対して支援の動きが高まっており、京都アニメーションへの寄付金が30億円を超えたそうです。
この動きに関連して、政府は京都アニメーションへの寄付を個人に対しては所得税の税額控除として、法人に対しては「国等への寄付金」として位置付けることで税制上優遇することで寄付を促そうとしている、というものです。
「寄付金を税制上優遇するって具体的にどういうこと?」という方もいらっしゃると思います。特に法人税はあまり身近では無いのではないかな?と感じました。
そこで、この記事を通して寄付金の法人税上の考え方とこの施策による影響を考えてみたいと思います。

※あくまで僕が思ったことを書き連ねている記事なので、
感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。
また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。
分からないものがある場合は税理士の方に相談してくださいね!

また、事件に見舞われた方々の回復・京都アニメーション様の復興をお祈りいたします。

寄付金って?

そもそも寄付金って何?という話から書いていこうと思います。

法人税法の条文

寄付金は法人税法上、以下のように決められています。

寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合の金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は経済的な利益のその供与の時の価額をいう。ただし、広告宣伝費等、交際費、接待費及び福利厚生費とされるものは、寄附金に該当しない。

(法37⑦)

あいかわらず法律の文章って読みづらいですよね!笑
ざっくり書くと、法人税法では一般的にイメージしやすい、企業や自治体などへの寄付金だけではなく、利益供与をした場合や資産をあげた場合なども寄付金として考えますよ、と書かれています。
税金上では、寄付金は一般的なイメージよりも広いんですね。

寄付金の損金算入限度額

寄付金には限度額が定められており、限度額を超えた分は税務上の費用(損金という)として認められず、法人税が余計にかかってしまいます!

超ざっくりした法人税の式

法人税=(益金〔税務上の収益〕-損金〔税務上の費用〕)×34.5%〔ざっくりした税率〕

ここの損金が減ってしまうので、税金が増えるってことです!
具体的な損金算入額は以下の式で算出します。

(引用)
1 一般の寄附金の損金算入限度額
{所得金額×(2.5/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)}×1/4

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htmより

なんで認められてない?

では、なぜ寄付金には損金として計上できる限度額が決められているのでしょうか?
もし寄付金が税務上無制限に認められると、寄付をしまくることで損金を沢山計上し、税金を逃れる企業が現れる可能性があります。
そのような事態を防止するために損金算入限度額を設けているということです。

寄付金の例外

ただ、損金算入できる額に制限がある寄付金にも、一部で例外があります。
それは以下の3つです。

・政府への寄付金
・地方公共団体への寄付金
・指定寄付金

これらは全額損金として認められています。理由は公共性が高いことと、政府や地方公共団体への寄付をするインセンティブを付けるためだと考えられます。
このうち、指定寄付金は法令で決められた組織への寄付金を指し、赤十字への寄付金などがこれに該当します。

京都アニメーションに対する寄付金

今回の京都アニメーションに対する寄付金は、災害義援金を模した制度を臨時的に作りました。
本来ならば一般企業に対する寄付金となるので、限度額を超えた寄付金に関しては損金として認められません。
しかし、京都アニメーションへの寄付金については自治体が窓口となり、遺族や被害者の方々へ義援金を支払う仕組みを作成しました。
また、既に京都アニメーションに支払われている寄付金については、一旦自治体へ移管しました。
この仕組みを作ることで、特例的に京都アニメーションへの寄付金を「国等への寄付金」とみなし、全額損金として認めるようです。そうすることで、法人税上不利な条件をなくして企業の寄付に対するインセンティブを高めようという狙いがあると考えられます。

京都アニメーション側の負担は?

では、京都アニメーション側の負担はどのようになっているのでしょうか?

通常の場合

まず、今回の特例措置がない通常の場合を考えてみたいと思います。

寄付金による負担

寄付によるお金が増えると京アニ側にも負担が増えると考えられます。
これは単純に寄付によって増えたお金は京都アニメーション側で益金(税務上の収益)として計上しないといけないので、単純にその分だけいつもより税金がかかってしまうと考えられます。

超ざっくりした法人税の式

法人税=(益金〔税務上の収益〕-損金〔税務上の費用〕)×34.5%

↑ここの益金がめっちゃ増える

災害損失

一方、災害によって受けた損失に対しては、通常では資産取得として損金計上が認められないものでも、損金として認められる部分が多くあります。

超ざっくりした法人税の式

法人税=(益金〔税務上の収益〕-損金〔税務上の費用〕)×34.5%

↑ここの損金も増える

ただ、今回の義援金は「ご遺族、障害を受けた社員、入院を余儀なくされている社員、身体的・精神的ダメージを受けた社員とこれら社員のご家族・ご親族など、今般事件の被害者とご遺族の支援に充てる」ことが決められております。そのため、義援金は火災にあった社屋等の復興には使われないようです。

法人税の影響

寄付金による収益は益金として計上する一方、「災害損失」は損金として計上できるため、同じ年度に寄付金分と同額の復興費用を支出していれば税金はあまり変わらないのではないのかなと思えます。

しかし、

①寄付金額が既に30億円を超えていること
②遺族や被害者の方々に対する義援金は上記の「災害損失」に該当するかどうかは微妙
③遺族や被害者の方々に対する義援金は個人に対する寄付金とみなされ、損金不算入部分が発生する可能性があること

寄付金を直接受け取った場合は受け取った時点で全て益金として計上されてしまいます。

また、京都アニメーションから遺族や被害者の方々に義援金を支払う行為は、「経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合の金銭の額」(法37⑦)に該当して京都アニメーションが支出した寄付金とみなされ、税務上の費用として認められないリスクがあると考えられます。

つまり、受け取った義援金と支払った義援金が税金上は収益と費用として対応しない可能性があるということです。

などから、通常であれば京都アニメーションは今年度に多額の法人税を払うリスクがあると思われます。

特例措置を取った場合

政府は、災害義援金を模した制度を作ることで、京都アニメーションの負担を軽減しようと考えているようです。

災害義援金

先程も書いたとおり、京都アニメーションへの寄付金は自治体が窓口となる仕組みを作りました。
この寄付金は、最終的に自治体から京都アニメーションへ支払われることになりますが、このお金は災害義援金とみなされます。
義援金になっても、寄付金を直接受け取った時と同様、益金として計上されるのは変わりません。

[Q28] 法人が、被災に伴って義援金や見舞金を受け取った場合には、税務上、益金の額に算入されるのでしょうか。
[A] 法人税法上、法人が受けた義援金や見舞金の収入金額は益金の額に算入されます(法法22)。

11 法人税に関するその他の取扱い(国税庁HP) より

ただし、直接受け取った場合と違うのは、自治体を窓口として義援金を支払うことにより、京都アニメーションに税金がかかってしまうリスクを回避している部分だと思います。

直接受け取った場合は上記の通り、税金上は収益と費用が一致せず(収益が多い状態となる)、税金を多く払うリスクがあると説明いたしました。

今回は自治体から京アニに対する義援金として支払うことで、京都アニメーションとしては寄付金としてみなされる税務上のリスクを回避することができます。
この仕組みによって、京都アニメーションとしては税金上収益にも費用にも計上されないため、今年度の法人税が増加してしまうのを防いでいると思われます。

どう思うか

京都アニメーションに対する税制上の措置についての考察は以上になりますが、最後にこの措置についてどう思うかを書こうと思います。
この措置自体は良いと思いますし賛成していますが、個別的に税制が設定されるのは個人的に違和感があります。税制を個別ごとに変化させることによって、政策的に税制を利用できてしまうおそれがあるかなあと思います。
この事例のように税金を軽くする方向に動く時は良いと思うんですが、税金が重くなるように個別事例を設定されるとどうなのだろう……と感じました。
例えば放火などの凶悪犯罪によって損害が発生した場合は災害義援金のような税制を適用します、のように画一的な基準を設けるべきなのかなあと思いました。

※重ねて申し上げますが、京都アニメーションに対して支援をするべきではない!とは全く思っていません。今回の税制上の優遇も寄付を促進させると思いますし、良いと思っています!

まとめ

・寄付金は税金上の費用として認められないことがある!
・災害義援金のような制度にして、法人税が増加することを防いでいる!
・個別的に税制を変更することは個人的には違和感…支援は賛成!

くりかえしになりますが、事件に見舞われた方々の回復・京都アニメーション様の復興をお祈りいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。