人格のない社団等って?サークルの税金について考えてみた【法人税・消費税】

経済

こんにちは!なすのつくだにです。

今回はこちらについて考えてみたいと思います。

サークルの税金って、何がかかるの?

今回はサークルの税金のうち、法人税と消費税について考えていきたいと思います。
源泉所得税については、こちらの記事をご参照ください!

なんでこれを考えるようになったか

はじめに、なんでサークルの税金を考えるようになったかを簡単に書きたいと思います(自分のことですみません…)。
僕は社会人の音楽サークルに入っているのですが、この前サークルの会計をやることになったんですよね。
その時に僕は税金関係の仕事をしているので、「サークルの税金ってどうなっているんだろう?」と気になった、というのがはじまりです。
会社だったら会社が代わりに税金を支払ってくれるので、あんまり意識することはないと思います。しかし、サークルだと自分で調べて税金がかかるかを考えないといけません。今回はその助けになれば幸いです!

※あくまで僕が調べてややこしい!と思ったことを書き連ねている記事なので、
感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。
また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。
分からないものがある場合は税理士の方・税務署等に相談してくださいね!

サークルの法律上の位置づけ

まず、サークルって法律上何に該当するのか?ということについて考えてみたいと思います。

サークルは法人税法・消費税法・所得税法などでは、「人格のない社団等」に該当することが多いと思われます。
「人格のない社団等」って、まず普段では耳にしない単語ですよね…笑
「人格のない社団等」は法人とは違い、勝手に集まっている団体(任意団体という)を指します。そのため、特に届出していないサークル等が該当しますね。

法人税法
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中略)
 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。

法人税法【e-Gov法令検索】

法人税法基本通達
1-1-1 法第2条第8号《人格のない社団等の意義》に規定する「法人でない社団」とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。(昭56年直法2-16「二」、「六」により改正)

法人税基本通達 第1節 納税地及び納税義務|国税庁

これによると、

①法人ではないものの
②一定の目的のために集まり
③団体として活動を行う

集団を指すようです。
これらの要素を満たしているかを僕が所属している音楽サークルで当てはめてみましょう。
僕が所属している音楽サークルは

①法人ではないただの趣味の集まりで
②「集まって音楽を行う」という目的を達成するために集まっている集団であり
③運営(会長や副会長、会計など)の方針に従って集団として活動を行っている

という先ほどの①〜③の条件を満たしているため、「人格のない社団等」に該当すると考えられます。

なお、上記に引用したのは法人税に関係する法律ですが、消費税法では消費税法第2条第1項第7号・消費税法基本通達1-2-1で、上記と同じような文言が書かれております。

 

今回の記事では、「サークルは人格のない社団等に該当する」という前提に立って考えていきたいと思います!

人格のない社団等の税金

それでは、人格のない社団等は税金上どのような取り扱いになるのでしょうか。
今回は法人税・消費税に対する取り扱いを考えていきたいと思います。

源泉所得税についても考えたのですが、文章が長くなったので別の記事で書きました!こちらをご参照ください!

法人税の場合

まず、法人税の場合を考えていきたいと思います。
法人税の場合は、人格のない社団等が「収益事業」を行なっていれば法人税を申告・納付をしなければなりません。もし収益事業をしている場合は届出をした上で、法人税を申告することになります。

法人税法
第四条 内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等又は人格のない社団等については、収益事業を行う場合、法人課税信託の引受けを行う場合又は第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する退職年金業務等を行う場合に限る。

法人税法【e-Gov法令検索】

収益事業とは

では、収益事業とは具体的に何を指すのでしょうか。
収益事業とは、物品販売業や興行業など文字通り収益をあげるために行っていると考えられる事業のことを指しています。具体的には、法人税法施行令で細かく決められています。
それでは、実際の法令を見てみましょう!

法人税法
第二条
十三 収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。

法人税法【e-Gov法令検索】

法人税法施行令
第五条 法第二条第十三号(定義)に規定する政令で定める事業は、次に掲げる事業(その性質上その事業に付随して行われる行為を含む。)とする。
 物品販売業(中略)
 不動産販売業(中略)
 金銭貸付業(中略)
 物品貸付業(動植物その他通常物品といわないものの貸付業を含む。)(中略)
 不動産貸付業(中略)
 製造業(中略)
 通信業(放送業を含む。)
 運送業(運送取扱業を含む。)
 倉庫業(寄託を受けた物品を保管する業を含むものとし、第三十一号の事業に該当するものを除く。)
 請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)(中略)
十一 印刷業
十二 出版業(中略)
十三 写真業
十四 席貸業のうち次に掲げるもの
 イ 不特定又は多数の者の娯楽、遊興又は慰安の用に供するための席貸業
 ロ イに掲げる席貸業以外の席貸業(中略)
十五 旅館業
十六 料理店業その他の飲食店業
十七 周旋業
十八 代理業
十九 仲立業
二十 問屋業
二十一 鉱業
二十二 土石採取業
二十三 浴場業
二十四 理容業
二十五 美容業
二十六 興行業
二十七 遊技所業
二十八 遊覧所業
二十九 医療保健業(中略)
三十 洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む。)、自動車操縦若しくは小型船舶(中略)の操縦(以下この号において「技芸」という。)の教授(中略)又は学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため若しくは学校教育の補習のための学力の教授(中略)若しくは公開模擬学力試験(中略)を行う事業
三十一 駐車場業
三十二 信用保証業(中略)
三十三 その有する工業所有権その他の技術に関する権利又は著作権(中略)の譲渡又は提供(中略)
三十四 労働者派遣業(後略)

法人税法施行令【e-Gov法令検索】

めちゃめちゃ多いですね……笑
これらのどれかに該当すると、収益事業をしているとみなされて法人税申告をしなければなりません。

収益事業をしている場合

収益事業をしていて法人税を申告・納付する必要が出てきた場合は、「公益法人等又は人格のない社団等の収益事業開始の届出」を出さなければなりません。

また、法人都道府県民税や法人事業税、法人市町村民税も納付しなければならないと考えられます。
都道府県民税や市町村民税は自治体によって取り扱いが異なるため、事務所のある都道府県や市町村に問い合わせた方が良いと思います!

僕が所属するサークルで考えてみた

これを僕が所属する音楽サークルに当てはめて考えてみます!
僕が所属するサークルは集まって音楽をしているため、上の中だと「二十六 興行業」に該当するかもしれません。しかし、僕が所属するサークルは現状お客様を呼んでお金をとるような活動は全くしていないため(内輪で発表会をしているだけなのです笑)、これには該当しないと思われます。
そのため、僕が所属するサークルは収益事業をしておらず、法人税の課税対象とはならないと考えられます。

余談

ちなみに、例えば公益法人で公益事業と収益事業を両方行なっている場合は、会計を公益事業と収益事業に分けて、収益事業のみに法人税を課税する必要があります。例えば、公益法人として運営している美術館でグッズの販売も行っている場合は、美術館事業部分は公益事業のため課税されませんが、グッズ販売事業に関わる部分は「一 物品販売業」に該当するため課税される、という形になります。

消費税の場合

では、消費税では人格のない社団等はどのような取り扱いとなるのでしょうか。
消費税法では、「人格のない社団等」も法人として取り扱われます。そのため、事業として資産の譲渡等があった場合は消費税が発生することになります。

消費税法
第三条 人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(第十二条の二及び別表第三を除く。)の規定を適用する。
(課税の対象)
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三項において同じ。)及び特定仕入れ(事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。以下この章において同じ。)には、この法律により、消費税を課する。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中略)
  四 事業者 個人事業者及び法人をいう。
(中略)
  八 資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。

消費税法【e-Gov法令検索】

「事業として」の範囲が広い

この「事業として」というのがややこしくて、この「事業として」は「対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われること」を指します。先ほど「法人税の場合」で書いた収益事業と被る部分もかなりありますが、それよりも広い概念となっているため注意が必要ですね!
しかも、法人が行う資産の譲渡及び役務の提供は全て「事業」に該当するので、注意しなければなりません。

消費税基本通達
5-1-1 法第2条第1項第8号《資産の譲渡等の意義》に規定する「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供が反復、継続、独立して行われることをいう。(平23課消1-35により改正)
(注)
1 個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の当該譲渡は、「事業として」には該当しない。
2 法人が行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供は、その全てが、「事業として」に該当する。

消費税基本通達 第1節 通則|国税庁

この点を、僕がいる音楽サークルの場合を考えてみましょう。
僕が所属する音楽サークルは毎月会費をサークル員から徴収し、全体会(全員で同じ曲を練習して発表したり、ワークショップを行うという内容です)を行っております。
つまり、会費をもって全体会の進行・スタジオの予約・全体会用の楽譜作成・資料のコピー・その他事務作業を行っております。
消費税の世界では、会費は対価性があるかないかで課税対象か不課税となるかが決まるので、このサークル費は対価性があり課税対象となると考えられます。
こんな感じでサークル費を徴収して全体会を行っている、というサークルはかなり多いと思います。

大多数のサークルは消費税の免税事業者になりそう

では、世の中のサークルは消費税を払わないといけないのでしょうか?
答えは、大多数は該当しないと考えられます!
なぜなら、一昨年の課税売上高が1000万円以下である事業者は消費税を納付しなくていい、という決まりがあるからなのです!

消費税法
第九条 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

第二条 十四 基準期間 個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう。

消費税法【e-Gov法令検索】

基準期間っていうのは、簡単にいうと一昨年っていうことです。
僕がいるサークルは売上高が1000万円をいくことは今後一切ないと思います笑!
そのため、消費税の課税事業者となることはなく、消費税を払う必要はありません。
課税売上高が1000万円を超えれば消費税を申告・納付する必要が生じますが、1000万円を超えるサークルってかなりまれなんじゃないでしょうか。それこそ殆ど会社みたいに儲けている団体じゃないと超えることはない気がします。
なお、基準期間の課税売上高が1000万円を超えて消費税を申告しなければならなくなった場合は「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。

まとめ

いろいろ考えてきましたが、これまでの内容をまとめたいと思います!

・サークルは「人格のない社団等」に該当する
・法人税上は「収益事業」をしているかに注意!
・消費税は課税売上高が1000万円を超えないと免税となる!

源泉所得税についてはこちらの記事で考えてみました!こちらもご覧ください!

以上、ありがとうございました!