こんにちは!なすのつくだにです。
今回はこちらについて考えてみたいと思います。
サークルの税金って、何がかかるの?その2
前回の記事は法人税と消費税について考えてみたので、次は源泉所得税について考えてみたいと思います!
前回の記事はこちらです!法人税や消費税についてはこちらの記事をご参照ください!↓
※あくまで僕が調べてややこしい!と思ったことを書き連ねている記事なので、
感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。
また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。
分からないものがある場合は税理士の方・税務署等に相談してくださいね!
サークルの法律上の位置づけ
まず、サークルって法律上何に該当するのか?ということについて考えてみたいと思います。
前回と同様、所得税法でもサークルは「人格のない社団等」に該当することが多いと思われます。
「人格のない社団等」は法人とは違い、勝手に集まっている団体(任意団体という)を指します。そのため、特に届出していないサークル等が該当しますね。
所得税法
第2条
八 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
所得税法基本通達
2-5 法第2条第1項第8号に規定する法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。
(1) 民法第667条《組合契約》の規定による組合
(2) 商法第535条《匿名組合契約》の規定による匿名組合
これによると、
②一定の目的のために集まり
③団体として活動を行う
集団を指すようです。
これらの要素を満たしているかを僕が所属している音楽サークルで当てはめてみましょう。
僕が所属している音楽サークルは
②「集まって音楽を行う」という目的を達成するために集まっている集団であり
③運営(会長や副会長、会計など)の方針に従って集団として活動を行っている
という先ほどの①〜③の条件を満たしているため、「人格のない社団等」に該当すると考えられます。
今回の記事では、「サークルは人格のない社団等に該当する」という前提に立って考えていきたいと思います!
源泉所得税の場合
それでは、人格のない社団等は源泉所得税上どのような取り扱いになるのでしょうか。
源泉所得税は先ほどの法人税・消費税と違って、個人に発生する所得税を代わりに払うものとなります。お給料が額面から税金分が引かれて支払われることをイメージしたら分かりやすいかもしれません。あれは個人(労働者)に代わって会社が税金を支払ってくれているんですね。
つまり、サークルは源泉徴収義務者に該当するかどうか?という点について考えていきたいと思います。
源泉徴収義務者について
まず、人格のない社団等が所得税法上どれに該当するかを考えてみます。
人格のない社団等も、法人税法や消費税法と同様に、所得税法上も法人として取り扱われます。
所得税法
第四条 人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第一を除く。)の規定を適用する。
次に、所得税法に書かれている源泉徴収義務者の説明を見てみましょう。
所得税法
第六条 第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。
「その他第四編第一章から第六章」とは、以下のことを指しています。
第二章 給与所得に係る源泉徴収
第三章 退職所得に係る源泉徴収
第四章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第五章 非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収
第六章 源泉徴収に係る所得税の納期の特例
つまり、上記のどれかを支払っている場合は、人格のない社団等であったとしても源泉徴収義務者となり、源泉徴収をしなければならなくなります。この中でサークル活動でよく出てきそうなのは「給与所得に係る源泉徴収」と「報酬、料金等に係る源泉徴収」の2つなのかなあと思います。
サークルは源泉徴収義務者に該当する場合がありそう
それでは、サークル活動でよく出そうな「給与所得に係る源泉徴収」と「報酬、料金等に係る源泉徴収」について考えていきたいと思います。
給与所得に係る源泉所得
給料等を払っているならば源泉徴収義務者となり、届出して源泉徴収しなければならなくなります。
会社から支払われている給料が所得税を引かれて支給されているのをイメージすれば分かりやすいですね。
所得税法
第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
ただし、常時2人以下のお手伝い等に払っているものは給与所得に該当しないようです。基準ふわふわですね…
(余談なんですが、所得税関係ってこれに限らず基準がふわふわしていることが多くて苦労するんですよね。福利厚生費の「社会通念上妥当な範囲」とか…)
所得税法
第百八十四条 常時二人以下の家事使用人のみに対し給与等の支払をする者は、前条の規定にかかわらず、その給与等について所得税を徴収して納付することを要しない。
サークル活動でよくあるお金としては、サークルの運営をしている人たちに毎月支払っているお金などが給与所得に該当する可能性があります。
給与所得については「雇傭契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付」(昭和56年4月24日第二小法廷判決)と定義されています。これを要素ごとに分解すると
②使用者の指揮命令に服している
③労務の対価として使用者から受ける
の3つに分解されます。これらに該当すると給与所得になる可能性があるということですね。
先ほどのサークルの運営費の例で考えてみると、①はサークル規約が「類する原因」に該当するのか、②は「サークルの多数決」が使用者とみなされるのかなど、それぞれ該当するかは微妙な所だと思います。
こちらは個々のケースによって給与所得に該当するかしないかが微妙なところなので、税務署や税理士の方に相談した方が良いかもしれません。
なお、源泉徴収をした場合は支払った翌月の10日までに税務署に源泉所得税を納付する必要があります。
(納付書は税務署に行けばあります!)
また、1月から12月を基準として、支払額が一定額を超えた場合は支払った金額を税務署に報告する「支払調書」を提出する必要があることにも注意が必要です。
ちなみに、僕のサークルは特に運営に対してお金を支払っていないので、給与所得は該当しなさそうです。
報酬、料金等に係る源泉徴収
次に、報酬に係る源泉徴収について考えてみたいと思います。
こちらは、講演をしてくれた方に支払った講演料や弁護士の方に対する報酬など、法律で決められた報酬については源泉所得税が発生するというものです。通称「204条対象」などと呼ばれていますよね。
具体的には細かく法律で定められております。実際の条文を見てみましょう。
所得税法
第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
一 原稿、さし絵、作曲、レコード吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の規定により支払われる診療報酬
四 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
五 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(中略)
六 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
七 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの
八 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=340AC0000000033#1778
なお、個人については、給与所得に係る源泉徴収義務のない個人は報酬の源泉徴収義務もないものとされております。
人格のない社団等(サークル)は所得税法上は個人ではなく法人として取り扱われるため、注意が必要です。
所得税法
第二百四条
2 前項の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
二 前項第一号から第五号まで並びに第七号及び第八号に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金のうち、第百八十三条第一項(給与所得に係る源泉徴収義務)の規定により給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われるもの
サークル活動でこちらに該当するものを考えてみると、
・練習に来てもらったことに対する謝礼
・ワークショップに対する謝礼
・クラシック系の音楽サークルだと外部の指揮者に対する謝礼など
が挙げられると思います。
こちらに該当する金銭を支払った場合は、支払う金額から一定の料率(種類によって異なっております。講演料ならば100万円以下の分は10.21%となります)を差し引いた額を支払い、こちらで源泉所得税を支払う必要が出てきます。
こちらはサークルによっては普通に発生しそうな処理なので、該当しそうな取引が出たら注意が必要ですね。
なお、源泉徴収をした場合は支払った翌月の10日までに税務署に源泉所得税を納付する必要があります。
(納付書は税務署に行けばあります!)
また、1月から12月を基準として、同一人に対する支払額が一定額を超えた場合は支払った金額を税務署に報告する「支払調書」を提出する必要があることにも注意が必要です。
(参考リンク)
源泉所得税に関するより詳しい情報(税率や対象)については「源泉所得のあらまし」を参照するのが良いかと思います。
参考にリンクを添付しておきます。
まとめ
いろいろ考えてきましたが、まとめてみます!
・毎月払っているお金がある場合は「給与所得に係る源泉所得税」に注意!
・謝礼を支払う際は「報酬に関する源泉所得税」に注意!
法人税や消費税についてはこちらの記事をご参照ください!
以上、ありがとうございました!