消費税の軽減税率がややこしい!その3・制度設計の考察編

経済

こんにちは!なすのつくだにです。

今回は地味ーに続いている税金ややこしいシリーズを書こうと思います!

1回目は軽減税率対象の範囲について、国税庁のリーフレットをもとに解説をしました!

 

2回目は請求書の書き方の変化について書きました!

 

今回は軽減税率制度そのものの制度設計について考えていきたいと思います!
そのため、僕個人の意見がいつもより多めになると思います…

 

また、消費税率変更に伴う経過措置についても以前記事にしています!
よろしければご覧ください!

 

※あくまで僕が調べてややこしい!と思ったことを書き連ねている記事なので、
感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。
また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。
分からないものがある場合は税理士の方に相談してくださいね!

軽減税率制度そのものに対する疑問

これからは、軽減税率制度の制度設計そのものに対する疑問を書いています。

・軽減税率対象の範囲
・新聞が軽減税率となっていることについて

そもそも軽減税率対象となるものの範囲がよく分からない

軽減税率制度に対する疑問点の1点目は、そもそも軽減税率対象となるものの範囲がよく分からない、ということです。

少し前のTwitterで「生理用品」がトレンドに上がっていました。
これは、軽減税率制度について、
「生理用品やオムツは軽減税率対象ではないのに、なぜ新聞は軽減税率対象となるのか?」
という記事が議論を巻き起こしたものでした。

この前の記事でも書いた通り、日本における軽減税率対象は大きく

・食料品の持ち帰り
・新聞の定期購読

の2つが対象となっております。
(詳しくは、以前書いたこちらの記事をご参照ください。)

確かに、「生活に不可欠なので食料品は軽減税率対象にします」という論理なのであれば、その他の生活必需品(例えば、トイレットベーパーや生理用品など)も軽減税率対象にするべきなのではないか?というのは疑問として当然上がってきますよね。

今回は外国の軽減税率制度がどのようになっているかを調べ、日本と外国の軽減税率制度を比較することで日本の軽減税率制度を考えてみたいと思います。

各国の軽減税率

外国の軽減税率制度はどのようになっているのでしょうか。
まず、各国の標準税率と食料品に対する軽減税率を一覧にしました。

 

標準税率 軽減税率(食料品)
日本 10 8
イギリス 20 0
フランス 20 5.5
ドイツ 19 7
イタリア 22 10
オーストラリア 10 0
中国 13 9
韓国 10 非課税

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/j04.htm
より作成

 

次に、各国の軽減税率対象についても確認していきたいと思います。

フランスの消費税体系

フランスの消費税の標準税率は20%となっております。
フランスの軽減税率は幾つかに分かれており、

・旅客輸送・宿泊施設の利用・外食サービスの利用は10%
・書籍・食料品・スポーツ観戦・映画などは5.5%
・新聞・雑誌・医薬品などは2.1%

となっています。
日本と違い、軽減税率の範囲は医薬品や映画、書籍などかなり幅広いものとなっています。

イギリスの消費税体系

イギリスの消費税の標準税率はフランスと同様で20%です。
しかし、軽減税率の税率や対象はフランスと異なっており、

・電力などは5%
・食料品、新聞、書籍、旅客輸送、医薬品などは0%

となっており、かなり広い範囲が0%に設定されております。

ドイツの消費税体系

ドイツの消費税の標準税率は19%となっております。
ドイツの軽減税率は上記の2つよりも高めとなっており、

・食料品、新聞、書籍、旅客輸送、宿泊施設の利用、スポーツ観戦、映画などが7%

となっております。

(フランス、イギリス、ドイツ共にhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/j04.htmより作成)

外国と比較した日本の軽減税率について

以上から考えられるのは、
ヨーロッパ各国に共通して食料品のみならず、

・医薬品や旅客輸送など、生活に不可欠だと考えられる支出
・書籍・雑誌・スポーツ観戦・映画など、文化活動に係る支出

に対しても軽減税率を適用しており、より幅広い範囲を対象としていることがわかります。
以上より、外国と比べて日本は軽減税率対象となる品目の範囲が非常に狭いことが特徴としてあげられると思います。
日本でもどこまでを軽減税率対象にする(どこまでが生活に欠かせないものか?)かは、かなり議論の余地があると思われます。
個人的には軽減税率対象となる範囲が広まれば、「生活に欠かせないものを軽減税率と設定している」という根拠により一貫性が出てくるようになりますし、より国民の生活に即したものとなると思いますね。
今後の税制改正の議論に期待したいところです。

新聞が軽減税率対象???

前述の通り、軽減税率対象は大きく分けて「飲食料品」と「新聞」ですが、新聞がなぜ軽減税率になる?というのは個人的に気になったので調べてみました。
飲食料品を軽減税率にしている趣旨は「生活に欠かせないものであるため、消費税率を8%にします」ということだと思うのですが、新聞はまた違う趣旨で軽減税率にされているようです。

日本新聞協会は「なぜ新聞に軽減税率が必要なのですか?」というページで、
新聞に軽減税率が必要である理由を以下のように述べています。

Q:なぜ新聞に軽減税率が必要なのか?
A:ニュースや知識を得るための負担を減らすためだ。新聞界は購読料金に対して軽減税率を求めている。読者の負担を軽くすることは、活字文化の維持、普及にとって不可欠だと考えている。

Q:新聞にも適用されているのか?
A:書籍、雑誌も含めて、活字文化は単なる消費財ではなく「思索のための食料」という考え方が欧州にはある。新聞をゼロ税率にしている国もイギリス、ベルギー、デンマーク、ノルウェーの4か国ある。欧州連合(EU)加盟国では、標準税率が20%を超える国がほとんどで、その多くが新聞に対する適用税率を10%以下にしている。

https://www.pressnet.or.jp/keigen/qa/#q2より引用

知識課税について

根底には、知識を知るための行為に課される税金は課税するべきでないという
「知識課税」という考え方があるようです。
これは欧州で見られる文化であり、新聞に限らず書籍や映画にも適用されていることが多いですね。

参考に各国の知識の習得に関する税率を調べてみました。

例:
イギリスは標準税率20%であるが、書籍は5.5%、新聞は0%の軽減税率である
フランスは標準税率20%であるが、新聞・書籍は0%の軽減税率である
イタリアは標準税率22%であるが、映画は10%、新聞・書籍は4%の軽減税率である
(参考:JETROホームページより https://www.jetro.go.jp)

僕は、もし「知識課税」の考え方に基づいて軽減税率を適用するのであれば、他の欧州諸国のように書籍や映画に関しても「文化・知識の向上に寄与する」と考え、軽減税率を導入するべきではないか?と感じました。
個人的には新聞に軽減税率が導入されることに関しては反対していませんが、書籍や映画には適用されていないのはやや一貫性に欠けると思います。
また、週2回以上発行されている新聞で、定期購読契約をしている場合に限っているのも「知識の向上に寄与する」という部分を軽減税率の根拠にするのであれば、違和感を感じます。

また、日本新聞協会は軽減税率の検討をしていた2013年1月には新聞などに対して消費税の軽減税率適用を求める声明「知識には軽減税率の適用を」をいう声明を出しています。
(https://www.pressnet.or.jp/statement/pdf/keigen_zeiritsu.pdf)

かなり前から、日本新聞協会はロビー活動を行なっていたことがうかがえるので、
その成果として新聞のみ軽減税率が認められたのではないか、と思ってしまいますね。

まとめ

今回はかなり自分の意見が多くなってしまいましたね…
この記事をまとめていきたいと思います!

・どこまでを軽減税率対象にするかは議論の余地がありそう
・なぜ新聞だけが軽減税率対象?
・知識課税を根拠とするなら全て対象にするべきではないか?

以上、ありがとうございました!