チャットモンチー「染まるよ」から見る、引き算の美学

音楽

こんにちは、なすのつくだにです!

今回は昨年2018年7月に完結したバンド、チャットモンチーのこちらの楽曲を紹介しようと思います!

染まるよ / チャットモンチー

チャットモンチーについて

有名なバンドなので気が引けますが、簡単にチャットモンチーを紹介したいと思います。
チャットモンチーは2000年に結成され、昨年2018年7月に完結(解散)したガールズバンドです。
完結時のメンバーは橋本絵莉子さんと福岡晃子さんの2人。

代表曲は「シャングリラ」「風吹けば恋」などでしょうか。
近年ではJR西日本の103系引退スペシャルムービー 「LOOP 大阪環状線」に、
「サラバ青春」(2005年リリース)が起用されていましたね。

僕が思うチャットモンチーの良さは、
一見キラキラしているけれど、その裏にトゲのある激しさにあるのではないかなと思っています。
「可愛らしい女の子」的な部分がメディアではクローズアップされがちですが、
鋭い観察眼に女性らしさが加わった、清少納言的なモノを感じさせます。

言ってはいけないことを言ってしまうたび
どんどん 私 ブスになった

だから
make up! everyday make up! every time
頰をチークで染めた
鏡よ 鏡 私は誰?

-出典: Make Up! Make Up! / 作詞:福岡晃子 作曲:橋本絵莉子

こちらはアルバム「生命力」に収録されている「Make Up! Make Up!」です。
大人になるに従って現れる、他人に見られたくない醜い部分を隠したい人間の心理を
外見を綺麗にする化粧と重ねて語っている曲なのですが、
その内容を爽やかに歪んだギターサウンドに乗せて歌っている部分に感覚の鋭さを感じさせますね。

「染まるよ」について

「染まるよ」は2008年に発売された9枚目のシングルで、アルバム「告白」にも収録されています。

歌詞の内容としては、
別れた「あなた」が「私」より好きだった煙草を深夜に吸うことで大人になろうと背伸びする心情
そして煙草の煙が朝焼けと重なって朝焼け色に染まる事と
「あなた」と決別する心情の移り変わりを重ね合わせて歌った曲だと思います。

「染まるよ」の歌詞は非常に多彩な解釈ができて僕も大好きなのですが、
解説をしている他サイト様が多数いらっしゃるので
今回は編曲面にフォーカスした記事にしたいと思います。

引き算の美学

2ndアルバム「生命力」〜3rdアルバム「告白」辺りのチャットモンチーの特徴だと思いますが、
「3人であること」「3人だからしかできないこと」を追求しているように感じます。
音楽における人数が少ないことによる制約で厳しいと感じるところは、やはり

・楽器(つまり同時に鳴らせる音の数)が少ない
・音圧・音量のMaxを稼ぐことができない

部分にあるのではないのかなと感じます。
しかし、人数が少ないことによるメリットもあって、

・逆説的にストップ・ユニゾン等の「音が少なくなる」演奏手法が映える
・人数が少ないため、グルーブの作り方が分かりやすくなる

という部分もあると思います。
少人数で演奏することはこの制約下で
これらのデメリットをいかに抑えて、メリットを最大化するかという作業だと思います。
3ピースバンドに限らず、ファミコン音楽やチップチューン、アカペラ等もこの制約の中で素晴らしい音楽を届けていますね。
僕は勝手にこれを「引き算の美学」と呼ぶことにしました!

「染まるよ」における引き算の美学

では、「染まるよ」においてはどのように引き算の美学を実現しているのかを考えていきます!

イントロ〜1メロ

イントロ〜1メロはギターも控えめなアルペジオのみを弾いています。
また、ドラムも基本的に4分音符だけを叩いていて、
8分音符で弾いているベースと組み合わさることによって8ビートを作っていますね。

Bメロでは、この曲のキーワードでもある「煙草」のボーカルの4分音符を
ギター・ベース・ドラムが同リズムで演奏することで強調しています。

また、この曲はイントロ〜1メロのみ16分音符をストレートで演奏されているんですよね。
それによって、1サビからシャッフルにリズムが変わることでよりエモーショナルな感じを出すことに成功していると感じます。

1サビ・2サビ

サビの部分はそれまでアルペジオだったギターがコードストロークに変わります。
それまでのメロで音数を極限まで減らして単音で演奏されていたのが
サビでコードストロークという塊に変わることによって、盛り上がりが一層引き立っていますね。
メロの引き算が効いています。

2メロ

1メロと同じかと思いきや、仕掛けをいくつか入れることによって驚きを演出しています。
Aメロでは後半でボーカルと同じリズムでバックが演奏することによってストップ的な効果をもたらしています。
この部分もキーワードである「煙」が入っていますね。
サウンド面でもキーワードを聞かせようという意図が伺えます。

Bメロではサビ前の「わたし」でボーカルとベースがユニゾンすることによって、
その後の歪んだギター・2サビを際立たせていますね。
あまりロックの曲でユニゾンから広がる手法は見かけないので、初めて聴いたときはびっくりしました。

Cメロ

2メロの激しさのまま突入するCメロです。
ラスサビ前の「でも もう いら ない」でも、メロディと楽器が同じリズムで演奏しております。
この歌詞も曲中の「あなた」への決別を告げるキーワードですね。
ここから転調します。

ラスサビ

ラスサビは転調することによって、それまでの思いが爆発しています。
ラスサビで転調してクライマックス感を出す構成自体は割とオーソドックスなものです。
しかし、それまでに引くところは引く・強調するところは強調するメリハリのある作りをしているため、
このラスサビが3人で演奏しているとは思えないエモさを出していると感じました。

ラスサビを聴かせたいために、それまでの構成をどうするか。
この曲は、そんな引き算の美学によって素晴らしいものとなったのです。

まとめ

  • 音数を極限まで減らす等の引き算を行うことでラスサビのクライマックス感を演出
  • ストップ・ユニゾン等を行う部分は曲におけるキーワードであり、キーワードが自然に耳に入る様に演出している
  • 「染まるよ」は良い!!!

改めて曲を分析してみて、感情を伝えるために曲構成や引き算のテクニックを利用している点に感動しました。
みなさんも「染まるよ」、ぜひ聴いてみてください!