こんにちは!なすのつくだにです。
今回は10月1日の消費増税と共にサプライズリリースされて話題になったこの楽曲を紹介したいと思います!
10% / 香取慎吾
香取慎吾さんが2019年10月1日に発表された「10%」がめっちゃ良かったんです!
曲調はかなーりpopで、めっちゃ踊れます!
でも、この曲の良かったところを改めて考えたところ、「消費増税」という社会問題に対する問題提起の仕方がポップスとして完璧なところにあるのではないか、という考えにたどり着きました!
このことに関して、これから書いていきたいと思います!
この曲の良いところ
先ほども書きましたが、この曲のいいところは社会問題に対する問題提起の仕方がポップスとしてめっちゃ良いことだと思います!
この曲は、政治色一辺倒になりそうな「消費増税」というテーマを扱った楽曲ですが、
・ほんのり想起させる「君」との生活
・踊れる曲調
・香取さんの明るいパーソナリティ
などのウィットに富んだアイデアを取り入れることで、ポップスとして社会問題に対する提示をすることに成功していると思っています。
以下にそれぞれの要素について僕の感じたことを書いていきます。
バランス感覚に優れた歌詞
消費増税が歌詞の主題
みなさんもご存知の通り、2019年10月1日は消費税率が変更されて、標準税率が10%・軽減税率が8%となった日です。
今回リリースされた「10%」も2019年10月1日にリリースされたことや、「お持ち帰り」や「イートイン」などの歌詞の内容からも消費増税を意識して歌った曲であることが分かります。
↓消費増税に対する諸々も記事にしたのでよろしければご覧ください!笑
10%(パー)POWER DOWN 疲労 GO NOW
10%(パー)YOU DON’T KNOW 愚鈍脳 NOW
EVERYBODYBODY 罵詈雑言
10%(パー)イートイン de ゲロッパ! to シーッ!HA っ!-香取慎吾 「10%」作詞・作曲:HIRO・Naruhiro Gompa・Shingoより引用
この歌詞はブリッジ部分の歌詞ですが、この部分では消費税率変更によって経済が”POWER DOWN”すること、世論は消費増税に反対していることを「EVERYBODYBODY 罵詈雑言」などで示唆していると思います。

ちなみに、実際の世論調査では本当に半々くらいで賛成と反対が分かれているようですね。
You love 未来へつなぐ 10%!?
だから速攻、嗚呼、、、嘘つかない DEAD てへっへ (ベロ)-香取慎吾 「10%」作詞・作曲:HIRO・Naruhiro Gompa・Shingoより引用
上記はサビ部分の歌詞なのですが、
こちらは

『以前(5-8%)の消費増税の時に「増税部分は全額社会保障の財源に使用します」と言っていたものの、実際は社会保障の充実に使われたのは一部で、その他の部分は「社会保障制度の安定化のため」という名目の元に借金返済に充てられたため、約束が守られなかった!』
と話題になったことなどをはじめとした、消費増税に対する不信感を「嘘つかない DEAD」などで示唆しているのではないかなーと、勝手に思っています。笑
なんか産経の記事ばかりになっていますね……意図は特にないです笑
個人的には現状のままだと人口比率的に社会保障は破綻すると思うので、「社会保障の安定化のために借金返済に回された」という説明は(誠実かどうかは置いといて)一応つく気がしています。
「10%」からの連想
この曲の歌詞では、消費税率としての「10%」をフックにして、
・髪型だと「10%(テンパー)」→天パーになること
・「10%」が視聴率ではどうか、打率ではどうか
など、「10%」という割合そのものに対して様々な連想をさせています。
このことによって、「10%」の言葉遊びとしての一面を強調させて、楽曲として硬くなりすぎないようにすることに成功していると思います。
君。Kick me! Kill me!Kiss me!体脂肪 神頼み 10%(パー) YEAH!
(中略)
グッモーニン 髪ですか? 天パー!
(中略)
キメキメキメキメ 視聴率 神頼み 10% DO(どう)!? AHA
吟味吟味吟味吟味 地上の打席が Through. All right!YEAH!-香取慎吾 「10%」作詞・作曲:HIRO・Naruhiro Gompa・Shingoより引用
元々この曲の歌詞は
・「Give me!」→「キメ」「吟味」
という音からの言葉遊びをたくさん入れている楽曲なので、その一環として、「10%」という単語でも
・言葉自身の意味の面(10%が体脂肪率や視聴率だとどうか?)
で様々な言葉遊びをしているのだと感じました。
愛する「君」との生活を想起させる
また、サビでは消費税率10%と並んで「君」とこれから続いていく日々を歌詞として書き、ほんのりラブソング感も漂わせることで、ポップスとしてのパッケージングをすることに成功しているのかなあと感じました。
君が Grandma になっても 10%!?
二人で、ねえ、HA ぁ、、、きっと 10%!?-香取慎吾 「10%」作詞・作曲:HIRO・Naruhiro Gompa・Shingoより引用
上記の歌詞を見ていただければ分かるように、「君」との日常について直接的な表現は避けられていて、「匂わせる」程度の表現にとどまっています。
このバランスが絶妙だと感じています。
消費税率の「10%」を過度にピックアップすると、政治的になりすぎます。
一方、「君」との日常を過度にピックアップすると、「ラブソング」という一面が目立ってしまい、「消費増税に対する風刺」という指摘したい事項からピントがずれてしまいます。
「10%」では、そこらへんの塩梅が絶妙で、過度に政治的にならず、かといってラブソングにもならない、ポップスとしての「10%」として成立させることに成功していると思いました。
踊れる曲調
次に、曲調について感じたことを説明したいと思います。
先ほどまで解説した歌詞なのですが、一聴しただけでは聞き取れません。
そのため、先に耳に入ってくるのはリズミカルかつアッパーな曲調になると思います。
コードとしては非常にシンプルです。
というかサビ以外はほとんどビート・リズムで押しているような楽曲で、非常にダンサブルな曲調が非常に印象に残ります。
こちらの楽曲を制作されたのはHIROさんという音楽プロデューサーの方です。
西野カナや三代目 J SOUL BROTHERSなどの有名アーティスト楽曲を多数制作されており、R&Bやエレクトロ系の楽曲を得意とされている方です。
今回の楽曲でもそれが存分に発揮されていて、ビート強めでテンションが上がりますね!
香取さんの明るいパーソナリティ
今まで色々書いてきたのですが、本当にこの要素が一番大切だと思っています。
音楽は歌っている方のライフスタイルが滲み出るものだと思っているのですが、この楽曲では香取さんの明るく飾らない「ポップスター」としてのキャラクターが存分に活かされていると思います。
香取さんはみなさんもご存知の通り、SMAPの元メンバーです。
SMAPは国民的アイドルであり、「スター」であったことは異論はないと思います。
SMAPの中でも、香取さんはソロ活動を切り取ると「ポップ」な親しみやすい面が強調されるのではないかなと感じました。
香取さんは、古くは「慎吾ママ」としてお茶の間の人気者となり(最近では続編的な感じで「慎吾母」としてファミリーマートのCMに出演されていますね)、
映画やドラマでは
・「忍者ハットリくん」のハットリくん
・「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両津勘吉
など、明るいキャラクターを担当することが多いです。
これらのイメージにより、スターですが親しみやすいキャラクターとして認知されているのではないかと思います。
「消費増税」という重く受け取られがちな政治的なテーマを、いい意味で「軽く」聴けるのは香取さんのパーソナリティのおかげだと思います。
以上、「10%」は「消費増税」という社会問題を扱った楽曲ですが、
・ほんのり想起させる「君」との生活
・踊れる曲調
・香取さんの明るいパーソナリティ
などのアイデアを取り入れることで、単純に社会問題を取り扱った曲としてではなく、ポップスとして昇華させていると感じました!
余談: 僕の思う、音楽における社会風刺
ここからは完全に記事に関連した余談です。笑
音楽は差別や社会問題をバックグラウンドとして発達してきた部分もあります。
そのため、音楽と政治は切り離せない部分があると感じます。
実際、今までも風刺や思想とリンクした楽曲が多数発表されてきました。
ただ、風刺や思想をどう表現するか?という部分が各ジャンルによって異なっていると感じています。
ロックやパンク、ブルース、ヒップホップなどの場合
例えば、ロックやパンク、ブルース、ヒップホップなどはその出自(差別や社会問題に対する反抗など)から、ストレートに表現することが好まれるように思います。
例) American Idiot / Green Day
この曲はアメリカのパンクバンド、Green Dayの楽曲です。
楽曲のタイトルが直訳すると「アメリカの馬鹿野郎」という過激さで、内容も「アメリカの馬鹿野郎はメディアに洗脳されているぜ」的なメッセージをかなりストレートな歌詞・曲調で表現しています。
ポップスの場合
逆にポップスの世界では、社会問題に対していかにウィットに飛んだアイデアで表現するか、という部分を重視している部分があるように思います。
そのアイデアは、歌詞だったり、曲調だったり様々な面から表現されているように思います。
例) 琥珀色の街、上海蟹の朝 / くるり
度々この楽曲が登場しますね。笑 僕この曲大好きなんですよー。笑
この曲のテーマは「東京が退廃していて、以前のような輝きは無くなってしまった」ことに対する風刺です。
タイトルにもあるように、退廃した東京に対する対比として上海を挙げています。
このメッセージをシティポップの曲調や、サビの「上海蟹食べたい〜」のコミカルな一節を用いることで、上手に「はぐらかして」います。
そのことで、過度に社会問題に対して直接的にならず、ポップスとして昇華していると感じました。
この理論は、僕の中で以前から感じていました。
「10%」ではポップスにおける社会風刺の手法が使用されていて、それが成功しているなあと感じたため、記事にしてみました!
まとめ
繰り返しになりますが、まとめようと思います!
「10%」は消費増税に対する楽曲ですが、
・ほんのり想起させる「君」との生活
・踊れる曲調
・香取さんの明るいパーソナリティ
などのアイデアによって、ポップスとしての社会問題を提示することに成功している!
はじめは「ダンサブルで楽しそうな楽曲だなあ!」と思って聴いていましたが、
考えれば考えるほど練られていて、本当にすごい楽曲だと感じました……
みなさんも「10%」、ぜひ聴いてみてください!
以上、ありがとうございました!
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