何なんwって何なん? 藤井風「何なんw」の魅力を解説してみた

音楽

こんにちは!なすのつくだにです!

今回は、最近話題になっていて僕もハマっているこの楽曲について書いていきたいと思います!

何なんw / 藤井風

藤井風について

藤井風(ふじいかぜ)さんは岡山県出身のシンガーソングライターで、
YouTube上でカバー動画等をアップロードしており、非常に人気を博しております。
そのため、音楽系YouTuberとしてご存知の方も多いかもしれませんね!

藤井風さんのYouTubeチャンネル

藤井さんはYouTubeを主体として活動していましたが、
2019年ごろから様々な大型フェスやライブに出演するようになり、話題となります。
2019年7月には東京と大阪でワンマンライブを敢行し完売、
その後「藤井風のオールナイトニッポン0」にて、初のラジオ出演でメインパーソナリティに抜擢されるなど大活躍されています。

何なんwについて

今までカバー動画を中心に活動していた藤井さんでしたが、
「何なんw」は藤井風さんのデビュー曲として、2019年11月に配信限定シングルとして満を持してリリースされました。
その後、2020年1月24日に他の4曲ともに「何なんw EP」としてリリースされ、同日にMVも公開されました。
MVがTwitterなどで話題になり、同日のTwitterトレンドに「何なんw」が23位にランクインするなど、話題になっております!

【参考】2020年1月24日のトレンドワード / トレンドカレンダー

「何なんw」の良さについて

一度聞いた時から耳から離れないとても素敵な楽曲なのですが、
その魅力がどこにあるのだろう…ということをずっと考えていました。
ここからは僕なりに考えた「何なんw」の魅力について

・リズム
・コード進行、転調
・歌詞

の観点から書いていきたいと思います!

リズムが良い

聞いて感じた事は、程よくグルーヴィなリズムが心地よいなあという点です。
特にボーカルのリズム感がめっちゃいいなあと感じました!
初めに藤井さんの歌を聴いたときに思った印象は「ジャズっぽいな!」というものでした。
藤井さんはジャズやR&Bをバックグラウンドに持った歌い方をされていると思います。以下、そう感じた要因について書いていきたいと思います。

ノリを重視した発音

藤井さんの特徴として、ノリを重視しているため日本語をはっきり発音していないことがあると思います。

【例】
・「て」をte

・「が」をga

など、子音を立たせることで拍を強調する歌い方をしています。
こういう歌い方は洋楽に影響を受けたシンガーに多い印象があり、近年わりと流行っている気がしますね。
安田レイさんや伊藤由奈さんなどがそういう歌い方をされます。

ジャズスキャット的なフェイク

分かりやすい特徴なのですが、フレーズをジャズスキャット的に歌っています。

【例】
・1Aメロ「言わないでいて」の最後を「てye,e,e,e,e,e,e,ah」

・Cメロ「裏切りのブルース」後のフレーズ「bah lah beh leh …」

このジャズスキャットなんですが、邦楽アーティストとは思えないくらい本当にうまいです
フェイク(メロディーでは無く自由に歌う事)をジャズ的にアプローチするアーティストはあまり聞いたことがなかったので、僕としてはとても新鮮でした!

リズム的な「はずし方」がかっこいい

ボーカルなのですが、リズムとして「はずす」ことで聴いているときの新鮮さを生み出しています。
この楽曲は「ハーフタイムシャッフル」という、16分音符でタッカタッカとハネているリズムで進行しています。
その中で、ドラムはずっとハネたリズムで演奏しています。
しかしボーカルは一部イーブン(タッカタッカしていないリズム)気味で歌っていたり、
本来の拍より後ろに押したり前へ引っ張ったりすることでリズム遊びをしています。
そういう本来想定していたリズムからの「はずし」をすることで、聴いていて「おっ」という引っ掛かりを作っています。

【例】
ラスサビの「何なん」後のフェイク→イーブンで歌うことで面白みを出している

コード進行、転調など

次にコード進行や転調の面で、「何なんw」について考えてみたいと考えたいと思います。

コード進行

まずコード進行について考えたいと思います!
Aメロとサビのざっくりしたコード進行は以下の通りとなっております。

GM7→F#m7→Bm7

この進行は非常によく使われるコード進行「丸の内進行」の類型ではないかなあと思います!

丸の内進行とは?

古くは「Just the Two of us進行」とも呼ばれる進行で、以下のようなコード進行を指します。

IVM7ーIII7ーVIm7ーI7

(ローマ数字はキーの中の音を示しています。例えば、CメジャーならばFM7→E7→Am7→C7となり、「何なんw」のキーであるBマイナー/DメジャーならばGM7→F#7→Bm7→D7となります)

「Just the Two of us」はグローヴァー・ワシントン・ジュニアによるソウルの楽曲ですね。
この楽曲の発表以降同じコード進行を持つ楽曲が流行したため、このコード進行を俗に「Just the Two of us進行」と呼びます。
この進行はおしゃれな響きに聞こえて、ジャジーな楽曲によく使われます。
椎名林檎さんの名曲である「丸の内サディスティック」で使われているため、
最近は「丸の内サディスティック進行」や「丸の内進行」とも呼ばれますね。

【例】使われている曲
・丸の内サディスティック /  椎名林檎
・愛を伝えたいだとか / あいみょん
・あなた / 宇多田ヒカル

例に挙げた楽曲たちは、基本的に「丸の内進行」が使われている楽曲となっております。
よく聴くと、どの曲も同じような響きを持っていて、お洒落でかっこいいですよね。

「何なんw」では、このコード進行がそのまま使われているわけではありませんが、
IVM7ーIIIm7ーVIm7という、この進行の類型のコード進行が使われております。
そのため、カッコ良くておしゃれ、そして聴き馴染みがあるような曲調になっているのかなあと感じました!

転調がドラマチック

次に、キー(調)について解説いたします。
この曲は転調が多い曲なのですが、

Aメロ(Bマイナー/Dメジャー)→Bメロ(Gマイナー)→サビ(Dメジャー)

を繰り返す構成となっております。
2つ転調があるため、それぞれ解説していこうかなあと思います。

Aメロ(Bマイナー/Dメジャー)→Bメロ(Gマイナー)への転調について

1Aメロ「近すぎて遠すぎて」〜 1Bメロあたりのコード進行を書き出してみます。

GM7→F#m7→Bm7→(転調!)→Gm

「コード進行」の節でも書いた通り、Aメロは基本的に「GM7→F#m7→Bm7」の繰り返しで構成されています。
その繰り返しで、Bメロへ行くときはGM7ではなくGmに行くことでGマイナーに転調します。
聴く人としてはずっと繰り返しだったので「GM7に行くのかなあ」と予想していたのを裏切られる結果となり、聴く人に驚きを与えるのかなあと思います。

Bメロ(Gマイナー)→サビ(Dメジャー)の転調について

1Bメロ「勢いにまかせて」〜1サビ「何なん」あたりのコード進行を書き出してみます。

F→Bb→Em7→F#7→(転調!)→GM7

転調前の最後のコードはF#7となっており、転調後の最初のコードはGM7となっております。
この、GM7に行くために半音下のセブンスコードを差し込むことを「サイドスリップ」ということがあります。
また、サビの最初のコードがGM7で、その前のキーがGマイナーです。
そのため、聴く人にとっては「Gmに行く」と考えていたところにGM7に進行することになり、Dメジャーに転調するという裏切りに成功していると思います。

歌詞

最後に「何なんw」の歌詞について考えてみたいと思います。

意味がないようであるような歌詞

初めて聴いたときは「リズム」の節で書いたようにノリを重視した歌い方や、岡山弁で書かれている歌詞に気を取られて「あまり歌詞に意味がない曲なのかな?」と思ってしまいます。
しかし、この曲を何度も聴いていると、あるメッセージを藤井さんなりに伝えているのかな?と思えてきます。不思議な歌詞です。

歌詞のざっくりした内容

歌詞の内容としては、「わし」はずっと前から失敗するから気をつけてと言っていたのに、「あんた」はその忠告を聞かずに失敗してしまって「何なんw」となる、という内容です。

ハイヤーセルフについての歌

藤井風さんは「何なんw」の解説動画を投稿しているのですが、その中で「わし」は自分の中にある自分を超越した存在、「ハイヤーセルフ」であり、「あんた」を説教する内容であると解説しています。
「ハイヤーセルフ」は日本人には馴染みがあまりない言葉かもしれませんが、日本的な感覚で言うなら「ご先祖さま」とか「バチが当たる」辺りが近いのかもしれませんね。
この解説を見たときに、「こういう感覚って誰にでもある普遍的なものだなあ」って思いました。例えば人間は「理性的に」考えたらやった方が良いことをできなかったり、逆にやらない方が良いことをやってしまったりしがちですよね。筋トレ続かなかったり、期限が迫っている課題をやらずにゲームしたりとか。
そういう普遍的なことを歌っているため、一聴しただけでは分からないですが、なぜだか惹きつけられるものを感じるような楽曲になっているのではないかと感じました。

藤井さんなりの伝え方

この楽曲の歌詞の特徴として、岡山弁で書かれてあることが挙げられると思います。
それは藤井さんの故郷の言葉なのですが、方言によって独特な感覚が養われたことがうかがえます。
「自分を超えた自分」みたいな説明をするとかなりスピリチュアルな印象を与えますが、それを方言というフィルターを通すことでいい意味で「軽い」印象を与えることに成功していると思います。

まとめ

ここまで色々書きましたが、まとめたいと思います!

・ボーカルのリズム感がえぐい!
・丸の内進行とドラマチックな転調がすごい!
・一聴したら気付かないが、普遍的な歌詞なのでなぜか惹きつけられる!

以上、ありがとうございました!